研究概要 |
携帯電話の普及,インターネットの整備,計算機性能の進化など,情報技術が急速に発展し,最新かつ大量の情報を高速に入手・処理することが可能になった.このような技術革命に伴って,これらの技術資源やそこから得られる情報を有効に利用する必要性が高まってきた.この目的において重要な問題として,スケジューリング問題やネットワーク設計問題などの情報学的・システム工学的問題が挙げちれるが,その多くは組合せ最適化問題として定式化できる.応用上重要な問題はますます大規模化・複雑化してきているが,NP困難性に代表されるように,多くの組合せ最適化問題に対し,問題の規模が大きい場合,厳密な最適解を求めることが困難であることが認知されている.このような問題に現実的に対処することを目標に,メタ戦略に種々の最適化手法を高度に組み合わせたハイブリッドメタ戦略と呼ばれる枠組みに基づくアルゴリズム設計の方法論構築が本研究の主な目的である. 高い汎用を持ちつつアルゴリズムの性能向上に利用できる構造を有する問題として,本年度は配送計画問題において凸の時間枠ペナルティ関数が付随するものを中心に取り上げた.この問題は,複数の顧客に何台かの車両で配送を行う際,顧客の希望する時間枠をできるだけ満たしつつ配送に伴うコストを最小化する問題で,宅配などの直接的な応用のほかにも,スケジューリングなどの見かけの異なる問題も多数応用に持つ汎用性の高い問題である.この問題に対し,動的計画法などの厳密解法とメタ戦略のハイブリッドを試み,一定の成果をあげることができた.また,集配を伴うより一般的な問題に対して集合被覆に基づくメタ戦略アルゴリズムの開発も検討した.この他,汎用性の高い基礎的な問題として,グラフ彩色問題に関していくつかの基礎的な性質を解明した.
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