研究概要 |
本研究は,MATLABインタプリタから直接呼び出し可能なランタイムルーチンをMATLABベースの記述から生成できるシステムの開発を目的としている.MATLAB用ランタイムルーチン(MEX-file)の記述には煩雑なインターフェース整合処理が必要でこれを人手で行うのは容易ではないが,本研究はこれを自動化しようとするものである. 本年度は処理系の高機能化のために以下の項目について研究開発を行った. 1.前年度の予備評価を受け,行列サイズの動的変更に対応したランタイムルーチン出力を実現し,本処理系の適用範囲を拡大した. 2.対話環境でMTLABプログラムを実行する際に最適化(特殊化)を加えつつMEX-file化する機能を設計・実装した.これにより,ライブラリ化したいMATLABプログラムにユーザが与えなければならない注釈の量が大幅に削減された.また,自動的な特殊化と連携したランタイムルーチン選択機能の実現により,多数の特殊化バリアントから適切なルーチンを自動選択可能にした. 3.CやFortranで記述された既存ライブラリをMATLABプログラム内で使用するためのラッパルーチン自動生成機能の設計を行った.予備評価として,複雑なインターフェースを持つ高機能ライブラリの一つであるPSBLASライブラリを効率良く利用するためのMATLABプログラム記述の変換アルゴリズムを実装し,効果を確認した. 一部の機能が実装途上である.包括的で詳細な評価が今後の課題である.
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