研究概要 |
本研究では,2年間に渡って無線LANにおける自律分散型のアクセスポイント選択方式の研究開発を行った.今年度は,昨年度から進めている提案手法の実装・開発を継続し,実機を用いたデモ展示を行った.また提案方式の実用性の観点から,現実的な利用環境にも対応できるように拡張を行い,シミュレーションによりその性能評価を行った.本年度の研究成果は以下の通りである. (1)提案手法の実装 昨年度から継続して,無線LANの研究開発を行っている国内の企業と連携して提案方式の実装と評価を行った.今年度新たに追加した機能としては,昨年度の研究成果である干渉を考慮したアクセスポイント選択がある.アクセスポイントを選択する機構に,隣接チャネルからの干渉度合いを考慮する機能を追加し,性能評価実験より,所望の性能を達成できることを確認した.さらに提案方式を実装した実機を複数台用いて,提案方式の有効性を示すデモ展示を行った. (2)実用性に関する評価 提案方式では,端末はアクセスポイントから通知される利用状況に関する情報と,そのアクセスポイントまでの無線通信状態を考慮し,最も高いスループットを獲得できると予想されるアクセスポイントを選択する.よって端末がアクセスポイントを適切に選択し,無線通信資源を有効に利用するためには,端末とアクセスポイント間の効果的な情報の共有と協調が必要不可欠となる.そこで今年度は,現実的な利用環境を想定し,時間とともに変化するトラヒック特性に対応して,アクセスポイントと端末間でアクセスポイントの利用状況に関する情報を共有する方法を検討した.そして検討結果を基に,アクセスポイントの利用状況を推定し端末に通知する機構を提案方式に導入し,その有効性をシミュレーションにより明らかにした.
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