研究概要 |
ユビキタスコンピューティング環境とは,日常使っているいろいろなものにコンピュータが入っていて,それを利用することができる環境のことである.他方,XML(Extensible Markup Language)は,その仕様が簡明であることに加え,既存のボキャブラリが豊富に利用できること,OSなどにより標準的にサポートされ,かつ関連ソフトウェアが充実していることなどから,ネットワーク時代の標準データ交換フォーマットとして広く普及している.ユビキタスコンピューティング環境においても,データ記述だけでなく,メタデータ記述や通信プロトコルとして,多くの局面でXMLの利用が予想されている. このような背景を踏まえ,本研究では以下の項目について研究を行った. 【分散環境におけるXML問合せ処理方式の開発】 ユビキタスコンピューティング環境においてXML問合せを分散処理する方式を開発した.具体的には,問合せワークロードによってXMLデータをフラグメントに分割した上で各ノードに配置する.その最適な配置には,遺伝的アルゴリズムを用いる.与えられた問合せは,問合せ処理プランに基づいて各ノードで分散して処理される.PCクラスタによる実験により,その有効性を検証した. 【分散ハッシュ表を用いたXML問合せ処理方式の開発】 ユビキタスコンピューティング環境を念頭に置き,ピュアP2P環境におけるXMLデータの格納・検索方式を「開発した.具体的には,XMLデータを各ノード単位に分割し,その根ノードからの経路とともにDHTに格納する.さらに,XML全体の構造情報(経路プレフィックス木)を別途DHTに格納する.検索処理時にはその両方の索引情報を利用することで,効率的な処埋が可能となる.提案システムのプロトタイプを実装するとともに,シミュレーション実験によりその有効性を検証した.
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