研究概要 |
一般に,画像データは,音声や他のデータに比べ,その容量が膨大であり,高精細な画像の伝送には高速な回線が必要となる.しかし,無線通信では,使用できる帯域が制限され,伝送路容量が限られているため,画像データを高圧縮して伝送することが要求され,画像の鮮明度を保持することが困難となる.そこで,この問題を解決するために,無線通信に特化した画像伝送方式の実現を目指し,本研究課題を進めてきた.昨年度は,画像データを高圧縮可能な画像伝送方式の研究を行い,フラクタル画像符号化に基づく新たな手法を提案した.そして,今年度は,高圧縮時における復号化画像のさらなる高品質化を実現する画像伝送方式の研究を行った. 昨年度において提案をした高精度フラクタル画像符号化は,画像の劣化を抑えながら画像を高圧縮することを可能とした.今年度においてはさらにその復号化画像の品質を向上させるために,国際標準であるJPEG圧縮だけではなく他の符号化方式も組み込み,画像ごとにその特徴を考慮して効果的な符号化を行うことが可能な符号化方式の研究を行ってきた.その成果として,昨年度提案をしたフラクタル画像符号化が各画像に対してどの程度効果的に圧縮が可能かということを,符号化前の画像の特徴から推定する手法を提案した.この手法を用いることで,フラクタル画像符号化が得意とする画像と不得意とする画像を判別することが可能となる.これは,画像の特徴を考慮した適応的な画像符号化方式を実現する上で有用な成果である.現在は,フラクタル画像符号化が不得意とする画像に対して,その復号化画像の品質を向上させるために,フラクタル画像符号化に効果的に他の符号化方式を組み込む手法について研究を行っている.
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