研究概要 |
本研究の目的は,実用的なタンジブルインタフェースの提案であり,そのために,「物をつかんでジェスチャすることによる,ダイナミックな機能の割り当て」によって,どこにでもある日用品小物をとっさにファイコンとして利用できるシステムの実現を目指すものである。 前年度までに,リビングルームの大画面テレビの操作に応接テーブル上の文具やコップを利用する試作システムを実装したが,まず18年度はこれの改良を進めた。これはガラステーブルの下から赤外線を照射し,その反射光をCCDカメラで撮影することで,上に置かれた物理アイコン(ファイコン)の位置を認識し,その認識結果をコンピュータで処理し,汎用的な赤外線リモコン制御回路を通してDVDプレーヤのコントロール(再生や音量の調整など)を行う。 さらに,上記の技術をベースに前年度までのシステムにあった認識スピードが十分とはいえないという問題点と複数の物体の認識が難しいという問題を重点的に解決すべく,アルゴリズムの見直しとソフトウェアの改良を行ってきた。しかし,物体の連続的な動きや複数の物体の位置関係を認識する機能はまだ実現の途上である。現段階では新しい方法として,高感度のカラーCCDを用いることで静止状態の物体の特徴を認識し,赤外線CCDカメラを用いることで動きのある人間のジェスチャを認識するという,ファイコンとジェスチャを撮影と認識処理を分割してそれぞれ別に処理してから統合するという手法の実装を進めている。 研究成果としては,現段階では学生による学内の卒業研究や修士論文中間報告の段階であり,雑誌・論文誌・国際会議等に成果を発表するまでにいたっていない。
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