研究概要 |
「ペンベース対話システムに関する研究」では(1)ユーザの個人性を反映した手書き風フォントを生成する。(2)漢字圏の小中学生,非漢字圏の人たち向けに,より効率的に短期間で書き順,書き方,意味を習得できるシステムを構築する。(3)筆書きにおいてよリリアルな効果を出すために,かすれを表現できるようにする。(4)オンライン署名照合において,偽造署名に対する頑強さと本人署名に対する柔軟さを兼ね備えた高精度の照合方法を実現することを目的とした。研究実績の概要は次のとおりである。本研究では外国人や小学生が楽しく効率的に漢字を学ぶために,部首解析を用いた漢字学習システムを提案した。漢字を部首ごとに解析し幾つかのパーツに分解するデータベースを用いた。学習者が分解されたパーツごとに閾値閾値(文字修正を行う時の判定値)を設定できるように改良した。重点的に指導してほしいパーツを自由に決めることができるので,学習者は漢字の一部のみを練習することができ,難しい漢字も容易に取得することができる。アニメーションで使われるストロークの色を,ストロークごとに違う色になるように変更し,筆順を理解できるだけでなく,色の違いによってどこまでが同一のストロークかを視覚的に理解できる。毛筆では,筆者はストロークの様々な形や,「かすれ」や「にじみ」のような効果を用いて,気持ちを表現する。「にじみ」は,墨,紙,筆の状態など様々な要素に影響される。この研究では,墨の濃さと量,筆圧と筆を動かす速度,2つ以上のストロークが重なった場合の紙の乾き具合が考慮される。これらの要素によって生じる,色や範囲の変化を考慮した「にじみ」を表現するため,正規分布のグラフが用いられた。乾いた紙にストロークが描かれた場合,墨は墨を含んでいない8つの隣り合うピクセルに流れるとし,各ピクセルを正規分布で求められた色で描画することで,にじみを表現した。この方法により,「にじみ」の特徴である,羽毛のような,ぼやけたエッジも表現することができる。
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