研究概要 |
平成19年度は,新たに4足歩行が可能な小型移動ロボットの開発と,ラットに精神疾患様の行動を発症させる実験プロトコルの開発を行った. 本研究では,これまで車輪駆動型の小型移動ロポットの開発を行ってきたが,ラットとロボットの間により多様なインタラクションを生起させるためには,より多様な動作が可能なロボットが必要であるとの考えに達した.そこで,新たに四肢を有し,4足歩行とラットの動作を再現可能なロボットの開発を行った.開発に際しては,独自に開発したラットの歩行解析実験装置を用いてラットの歩行解析を行い,その結果にもとづき,ロボットの仕様と自由度配置を決定した.また,同ロボット用の歩行パターンジェネレータを開発し,動物的な歩行を実現した. また,インタラクション実験においては,ロボットとのインタラクションがラットにどのような心理的変化をもたらせるかについて調査を行った.まず,ロボットの運動パターンをさまざまに変化させ,その際のラットの反応について観察した.その結果,ロボットがある特定のパターンで動作した際に,ラットに精神疾患様の行動を発現させる可能性があることが示唆された.そこで,ロボットの動作パターンと精神疾患様の行動の間の関連性を調査するために,さまざまな実験を行った.実験の結果,ある特定の条件がそろった際に,ラットに精神疾患様の行動が発現することが示唆された.これは,ラットとロボットによるインタラクション実験系が,精神疾患に関する基礎実験系に応用可能であることを示唆するものであり,大変興味深い.
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