研究概要 |
交付申請書に記載された3つの研究(研究A,B,C)が総合的に進められた. 計量生物分野への応用として,発生学領域における毛周期解析およびヒト胎児発生のスタンダード曲線の構築に局所適合平滑化が引き続き応用された(研究C).生物学領域では,計画された投薬量にたいする反応の有無など,目的変数が離散の場合が重要となるが,そのような場合における新たな平滑化手法を構築し,そこに含まれる平滑化パラメータの選択を議論した(研究Aおよび研究C). 統計的学習理論との絡みで,反復局所適合平滑化による最小2乗ブースティングアルゴリズムを考察し,その挙動を数値的に調べた.そこに含まれる平滑化パラメータの選択に必要な理論計算を進めた.高次元データを扱う際にいずれにせよ何らかの次元縮小を前もって行う必要があるが,主成分分析と独立成分分析を組み合わせた新たな次元縮小アルゴリズムを考案し,そのアルゴリズムの応用による次元選択の手法も開発するとともに,その性質を調べた(研究B). 胎児形態計測データの解析において,臓器発生の多変量スタンダードの構築における次数選択および平滑化パラメータの選択の必要性からモデル選択の議論を行い,その基礎理論を与えた(研究A).また,発生過程の調和度解析という新たな研究方向を考案し,擬等角写像論に現れる最大歪曲度の推定を局所適合平滑化を用いて行うアルゴリズムを考案した(研究C).この量により胎児発生過程の調和度マップ作成の目途をつけた.
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