研究課題/領域番号 |
17700351
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
関 貴弘 広島大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助手 (50335650)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | 脊髄小脳失調症(SCA) / プロテインキナーゼCγ / 凝集体形成 / ユビキチン・プロテアソーム系 / 小胞体ストレス / 小脳プルキンエ細胞 / プロテインキナーゼCγ(γPKC) / 神経細胞死 |
研究概要 |
昨年度は遺伝性脊髄小脳失調症14型(SCA14)の原因として同定された変異γPKCは(1)細胞内で凝集体を形成すること(2)アポトーシス性細胞死を引き起こすこと(3)凝集体形成によりユビキチン・プロテアソーム系(UPS)の機能低下を引き起こすこと、を明らかにした。本年度は変異γPKCが細胞死を引き起こすメカニズムをより詳細に検討するとともに、SCA14の病変部位である小脳プルキンエ細胞に対する変異γPKC発現の影響を検討し、以下の結果が得られた。 (1)変異γPKC凝集体形成は小胞体ストレスを誘発する。 変異γPKC-GFP凝集体の見られるCHO細胞では、小胞体ストレスのマーカーであるPERKのリン酸化およびCHOPの核内発現増大が観察された。これは、CHO細胞にプロテアソーム阻害薬であるlactacystinを処置することによっても誘発された。 (2)変異γPKCは初代培養小脳プルキンエ細胞においても凝集体を形成する。 マウス胎児由来の小脳初代培養細胞を作製し、アデノウイルスベクターによりプルキンエ細胞選択的に変異γPKC-GFPに発現させると、多くの細胞で凝集体形成が観察された。 (3)変異γPKCはプルキンエ細胞の樹状突起面積を減少させる。 広範囲に分布する樹状突起を持つ小脳プルキンエ細胞に対し、変異γPKC-GFP発現は樹状突起の分布面積を有意に減少させた。この減少は変異γPKC-GFPの凝集体有無に関係なく観察された。 以上の結果より、SCA14において発見された変異γPKCの凝集体はUPSの機能低下を引き起こし、小胞体ストレスを誘発することにより、アポトーシス性細胞死を引き起こすことが示唆された。また、小脳プルキンエ細胞においても変異γPKCは凝集体を形成するものの、樹状突起分布面積を減少させる作用は凝集体の有無に関係ないことから、変異γPKCの易凝集性以外の特性の変化がプルキンエ細胞の樹状突起を減少させ、SCA14患者で観察される小脳皮質の萎縮を引き起こすのではないかと示唆される。
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