研究課題/領域番号 |
17700353
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
田村 志宣 和歌山県立医大, 医学部 (10364085)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 疼痛 / 後根神経節 / ニューロン / オンコスタチンM / 炎症 / STAT3 / CREB / MAPキナーゼ |
研究概要 |
成獣マウスにおいて、OSMRはDRGの小型ニューロンに発現しており、TRPV1とP2X3の両者を発現している。さらに、OSMは、マクロファージ、好中球、好酸球のような炎症細胞から産生されている。これらの所見は、炎症反応時にOSMが侵害受容神経に作用し、痛覚伝達に影響を及ぼす可能性を示唆している。そこで、今回、マウスの皮下に完全フロイントアジュバント(CFA)を接種することにより、炎症性疼痛過敏のモデルを作製し、OSMR陽性ニューロンにおける種々のシグナル分子の活性化を検討した。CFA接種後24時間で、炎症惹起部の皮下において、OSMR陽性ニューロンの神経終末の周辺に多数のOSM産生細胞の集積がみられた。CFA接種後48時間まで、炎症惹起側のDRGにおいて、OSMR陽性ニューロンの数的変化は認められなかったが、OSMRの下流の転写因子であるsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)がCFA接種6時間後から有意に活性化され、24時間後でピークとなり、48時間後も強く活性化されていた。そこで、炎症性痔痛過敏の惹起に重要な役割を果たすことが報告されているp38とErkの活性化をDRGニューロンで検討したところ、p38はCFA接種6時間後から、Erkは12時間後から、炎症側のDRGニューロンで著名なリン酸化の増加が認められたが、これらのリン酸化はOSMR陽性ニューロンでは検出できなかった。さらに、炎症によるc-AMP responsive element-binding protein(CREB)の活性化を検討したところ、CFA接種6時間後から炎症側のDRGニューロンで著名なリン酸化の増加が認められ、興味深いことに、炎症により増加したリン酸化CREBはほとんどがOSMR陽性ニューロンにおいてであった。炎症によるDRGニューロンでのp38とErkの活性化はNGFが関与することが報告されているが、CREBの活性化についてはこれまでのところほとんど報告がない。OSMRはJanus kinase(JAK)、STAT3、Erkに加えてShc、K-Ras、protein kinase Aなどを介して細胞内でシグナルを伝達することが知られており、OSMR陽性ニューロンでのCREBの活性化がOSMによる直接的な作用である可能性が示唆されるが、その詳細なメカニズムについては現在検討中である。
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