研究課題/領域番号 |
17700373
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経・筋肉生理学
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研究機関 | 東京大学 (2006) 独立行政法人理化学研究所 (2005) |
研究代表者 |
久恒 智博 東京大学, 医科学研究所, 助手 (10321803)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | inositol / calcium / taste / signaling |
研究概要 |
イノシトール3リン酸受容体ノックアウトマウス(IP3RKO)における味覚シグナルの異常を2瓶法により解析した。その結果、IP3R3KOマウスは、野生型マウスに比べて甘み、苦み、うまみに対する反応性が低いことが分かった。また、より高濃度のこれらの味に対しては、ノックアウトマウスが反応を示すことから、高濃度のこれらの味には、他のタイプのIP3RがIP3R3の欠損を補っている可能性(ウエスタンブロット法において、味蕾に、IP3R1,2、共にわずかながら発現していることを明らかにした)、あるいは、イノシトール3リン酸受容体とは全く異なるシグナルが関わっていることが示唆された。一方、塩味、酸味に関しては、野生型マウスと同様な反応を示すことを明らかにした。電気生理法を用いた神経応答の解析の結果、2瀬法で異常が観察された甘み、苦み、うまみにおいて野生型に比べて顕著に反応性の低下がみられ、Type3KOマウスの味覚シグナル異常が末梢において起こっていることが示唆された。味蕾細胞にはIP3R3が高発現することから味蕾細胞でのシグナル異常が強く示唆される。またType2KOマウスにおける2瓶法の解析の結果、すべての味に対して野生型とほぽ同様に反応を示すことが分かった。しかしながら、低濃度のスクロースやHClに対してわずかながら野生型とは異なる反応を示したことは、IP3R2がわずかながら味覚シグナルに関わっていることを示唆すると考えられる。 さらに、電子顕微鏡を用いてIP3RKOマウスの味蕾細胞に異常が生じているかを検討した。その結果、Type3KOマウスの味蕾は、タイプI, II, III型味蕾細胞が野生型と同様に存在し、顕著な変化は見られないことが分かった。このことは、IP3R3KOマウスの味覚異常は、味蕾細胞の分化、維持、細胞死などに因るものではなく、細胞内シグナル伝達の異常によることを強く示唆している。
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