研究課題/領域番号 |
17700390
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
サイ レイ 信州大, 医学部, 助手 (70377620)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,600千円 (直接経費: 2,600千円)
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キーワード | ヒトES細胞 / 心筋細胞 / 心筋組織 / 分化 / 増殖 |
研究概要 |
本年度は、ヒトES細胞由来心筋細胞の分化・増殖について、in vitroおよびin vivoとおいて解析を行った。 (1)in vitro 胚様体形成法を用いて心筋細胞を誘導し、培養過程での構造的分化と増殖能を調べた。胚様体再接着5日目から最長106日までの心筋細胞を解析した結果、その機能的分化を裏付ける構造的分化が構成蛋白質の免疫反応性を伴って観察された。つまり、サルコメアを持つ筋原線維(troponin I・α-actinin陽性;収縮能)、接着結合(cadherin陽性;細胞間の物理的結合)、ギャップ結合(connexin43陽性;電気的統合)、分泌顆粒(atrial/brain natriuretic peptide陽性;内分泌機能)などの分化過程が認められた。またproliferating cell nuclear antigen(PCNA)染色により、再接着5日目でほとんどの心筋細胞に認められた増殖能は、培養に伴い漸減するものの、70日を超えてもなお一部の心筋細胞で維持されることが明らかになった。 (2)in vivo 胚様体再接着5日目の増殖活発な心筋細胞をSCIDマウス後腹膜に移植し、28日後に分化度・増殖能・組織構築能について解析した。移植片はドナー細胞に混入した未分化細胞により奇形腫組織を呈したが、その中に心筋細胞の豊富な組織が島状に観察された。一部には心筋細胞が密に集合して心筋組織様の構造をとる場合も見られたが、多くは心筋細胞が非心筋細胞間に散在するような組織であった。心筋組織様の細胞塊では、心筋細胞間にcadherinやconnexin43が認められ、構造的機能的統合が示唆された。PCNA染色により、組織構築や細胞形態に関わらず、心筋細胞の増殖能は概ね低いことが判明した。 以上の結果から、ヒトES細胞由来心筋細胞の増殖能は、in vitroに比べin vivoでは低いことが示唆された。要因として、a.心臓外への異所性移植であること、b.奇形腫中であること、c.異種移植であること等が考えられる。今後これらのいずれによる結果なのかを検証する必要があるが、今回殊に生体内で得られた所見は、再生医学への応用を考える上での基盤となるものと考えられる。
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