研究課題/領域番号 |
17700396
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 東北大学 (2006) 奈良先端科学技術大学院大学 (2005) |
研究代表者 |
上高原 理暢 東北大学, 大学院・環境科学研究科, 助手 (80362854)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2006年度: 1,700千円 (直接経費: 1,700千円)
2005年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 再生医療 / 人工骨 / リン酸カルシウム / 生体吸収性 / 生体活性 |
研究概要 |
骨組織の機能修復に用いる人工物のみで構築された人工骨は、提供者の倫理上の問題がなく安定した供給が可能で、保存も容易である。さらに、感染の心配もないので、移植や組織工学には無い利点を多く持つ。特に再生能力の旺盛な骨組織では、そのような体内での再構築を促進する人工材料の使用が望ましいと考えられる。リン酸三カルシウム(TCP, Ca_3(PO_4)_2)は、異物反応を起こさず、しかも生体内で骨再生に伴い吸収される材料として人工骨に使用されている。しかし、TCPには、焼結性に乏しく焼結に高温を要する、骨結合性が十分でない、生体内での吸収速度の調整が困難である、等の問題がある。そこで、粒界にシリケートが残存するようなTCPセラミックを設計すれば、その吸収速度を制御でき、しかも高い骨結合性を示すと期待される。昨年度、湿式法によるケイ素を含有するTCP粉末の合成手法を確立した。そこで、本年度は、その手法によって合成した粉末について、その焼結挙動を調べた。さらに、焼結して得られた緻密体の構造および擬似体液中での挙動について調べた。その結果、以下のことを明らかにした。 1.ケイ素を添加すると、焼結しやすくなり緻密体の相対密度が上がる。 2.ケイ素を含有するTCP緻密体において、ケイ素は粒子中よりも粒界部分に多く存在する。 3.擬似体液中においてケイ素を含有するTCP緻密体は、表面にアパタイト層を形成する。これは、高い骨結合性を示す可能性を示す。 4.ケイ素を添加すると、擬似体液中での緻密体の溶解速度が小さくなる。 これらの結果より、TCPにケイ素を添加することで、人工骨の高機能化を達成できる可能性が明らかとなった。
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