研究概要 |
In vivoにおける基礎的検討 (1)糖尿病犬に対する経静脈ブドウ糖負荷による有用性の検討 携帯型人工膵島の一般臨床応用を目的に開発したポリイミドを用いた微小針型ブドウ糖センサを,腹部皮下組織に留置した健常犬に対し2g/kg経口ブドウ糖負荷を行い,この際,同時にもう一つのPIセンサ大腿静脈に挿入留置し,血糖値の連続計測を行うことで,皮下組織ぶどう糖濃度の血糖値に対する追随性及び時間遅れについて検討した.さらに,皮下組織ブドウ糖濃度と実測血糖値の相関を検討するために静脈血採血を10分間隔で行い、HemoCue B-glucose analyzerにて全血血糖値を測定した.また使用前後のセンサ表面の変化についても評価した.その結果、連続全血血糖値と実測血糖値の関係は、ほぼ一致していた.このことより、PIセンサにて計測した連続血糖曲線は血糖値の変化をリアルタイムに表していることを確認し得た.同様に,PIセンサにて計測した皮下組織ブドウ糖濃度もブドウ糖負荷後の血糖値の変化に対し,追随していた.実験で得られた全てのデータを基に,PIセンサにて計測した皮下組織ブドウ糖濃度とその時の実測血糖値の相関について検討した結果,血糖値が30から300mg/100mlの範囲で相関係数0.969と良好に相関することを確認した.また,センサ表面における変化については,蛋白付着など有意な変化は認めなかった. (2)血糖値に対する皮下組織ブドウ糖濃度の時間遅れの検討 全血血糖曲線と皮下組織ブドウ糖濃度曲線を基に,血糖値に対する皮下組織ブドウ糖濃度の時間遅れについての検討を行った.1例ずつ,時間遅れを0〜12分まで1分間隔にて仮定した場合の関係数の変化を検討した結果,ある例では,時間遅れを加味しない場合,即ち,時間遅れが0の場合,相関係数は0.948であったが,時間遅れを6分と仮定すると両者の相関係数は最高値0.984を示した.従って,血糖値に対する皮下組織ブドウ糖濃度の時間遅れは,本例では6分であったと考えた.同様の方法にて5例全ての実験結果を解析すると,血糖値に対する皮下組織ブドウ糖濃度の時間遅れの平均値は6.6±1.2分であった.
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