研究課題/領域番号 |
17700400
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
医用生体工学・生体材料学
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
朝山 章一郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (90315755)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2006年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | pH応答性 / 遺伝子キャリアー / 生体高分子 / ポリ(L-ヒスチジン) / DNA三元複合体 / バイオコンジュゲート / リガンド解離 / ナノ構造転移 |
研究概要 |
主要薬物送達システム的アプローチにより、臨床応用可能な絶対安全性無侵襲遺伝子治療を目指し、細胞内への遺伝子取込過程における局所pH変化に焦点を合わせた、pHに応答してナノ構造を転移させる新規非ウイルス性遺伝子キャリアーの創製を目指した。 昨年度創製した「pH応答的糖鎖リガンド解離」を誘起するDNA三元複合体の構造活性相関を行った。その結果、アミノ化ポリヒスチジン(PLH-NH_2)の主鎖を水溶性に変換した「アミノ化ポリビニルイミダゾール(PVI-NH_2)」を合成することにより、ラクトース化ポリリジン(PLL-Lac)とDNAとの三元複合体の活性向上に成功した。具体的成果を以下に述べる。 DNA/PVI-NH_2/PLL-Lac複合体は、生理pH7.4において、粒子径が370nm程度、ゼータ電位がほぼ中性を示した。この時、外部pHがpH5.0にまで低下すると、粒子径が290nm程度に減少、ゼータ電位が+16mVに上昇した。つまり、「生体内微小pHに応答したDNA複合体のナノ構造転移」の誘起に成功した。さらに、DNA/PVI-NH_2/PLL-Lac三元複合体から、pH応答的にPLL-Lacが解離した後生じたDNA/PVI-NH_2二元複合体は、デキストラン硫酸存在下において、DNAを遊離した。三元複合体では、そのDNA遊離が認められなかった。すなわち、標的部位到達まではDNAを安定に保持し、細胞質内移行後はDNAとキャリアーの解離を促進する、「無侵襲遺伝子治療用キャリアー」を創製した。そして、得られた遺伝子キャリアーを用いることにより、既存の優れたpH応答性高分子であるポリエチレンイミンと同程度の遺伝子発現活性を、細胞選択的に、且つ、無毒性で達成することに成功した。 以上の研究成果は、非ウイルス性遺伝子キャリアーを用いた薬物送達システム研究分野に、新しい展開を導くものと期待される。
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