研究概要 |
平成19年度は以下のサブテーマに関して研究を進めた。 1.過渡的な視覚刺激入力条件での抑制効果の解析,およびそのシナプス結合強度に対する影響についての解析 これまでの解析では,簡単化のため,視覚野神経細胞モデルが定常的に発火するような状況を仮定していた。これに加え,本年度は,より実際の状況を忠実に再現するため,刺激入力が過渡的であり,神経細胞の発火パターンも過渡的な場合を解析した。結果,発火パターンが単安定になるシナプス結合強度では,磁気刺激抑制効果を部分的に(早い潜時帯のみ)しか説明できないことが分かった。遅い潜時帯の抑制効果を説明するには,発火パターンが双安定になるシナプス結合強度か,あるいは高次領野からの遅いフィードバック信号が必要になることが分かった。 2.視覚野以外での磁気刺激効果の解析 視覚野を対象として行ってきた一連のモデル解析結果をもとに,他領野での磁気刺激実験結果の再解釈を行った。特に,ワーキングメモリ保持課題時における持続性発火を説明する背側前頭前野の神経回路モデルとの類似性に着目し,ワーキングメモリ機能解析のための新しい実験提案を行った。
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