平成19年度は過去2年間で収集したCIQデータの解析および学会発表を行った。解析の結果より、日本人健常者のCIQ得点結果には年代および性別による特徴が顕著にあらわれ、また婚姻の有無など、ライフステージに応じた個人的生活状況が直接的・間接的に影響することが示唆された。質問項目を因子解析した結果、欧米の先行研究との明らかな相違点が見られたため、日本人独特のライフステージを反映した可能性が考えられ、今後慎重に内容を検討する必要がある。 また、松坂中央総合病院に外来通院中の頭部外傷患者のCIQ得点結果との比較では、健常者と比較すると、女性患者において著しい得点低下が見られた。女性の役割変化を反映するものと考えられ、今後の頭部外傷患者の社会参加の度合いを評価するに当たり、参考とすべき知見を得られたと考える。また、今回健常者の得点傾向を把握したことによって、頭部外傷患者だけでなく、他の疾病に対する適応可能であることが示唆された。今後、ほかのQOL評価法との比較も検討し、更なる信頼性と妥当性の検証を行いたい。 今回の調査は、現代の日本人のライフステージを反映したものであり、今後時代の変遷と日本人の価値観の変化と共に調査結果にも経時的変化が加わることが予測される。今後も定期的に調査をする必要があると考える。
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