研究概要 |
2007年現在,厚生労働省は,健康の維持増進のための身体活動量として,1週間当たり23METs・時という具体的数:値を示している.そのため,多くの人々が日常の身体活動量を測定できる簡易な方法が求められている. 一般性に優れた加速度センサ法による身体活動量の測定が頻繁に行われている.加速度センサによる身体活動の測定は,対象者がセンサを装着するだけで,身体活動量を継続的・客観的に測定することができる.一方で,加速度センサ法は測定精度が低く,改良が必要であることも明らかであった.加速度センサ法の改良点には,1)加速度センサ自体の測定精度の向上,2)加速度センサ測定値から身体活動量に変換する方程式モデルの向上,の2点が挙げられる.本研究では,方程式モデルの向上を最終目的として,フィードバックコントロールシステム(FCS)法を日常生活(歩・走行運動)に適用することを目的とし,【課題1】日常生活における物理的強度の測定精度,【課題2】フィードバック制御特性を考慮した方法による身体活動量の測定,を検討し,以下の成果を得た. ・成果1:1軸加速度センサは歩行では高い測定精度(92%)を示すものの,走行および立位作業時では測定精度は低下する(61%).精度低下の原因は,身体活動パターンの変化に伴うエネルギー効率の変化を1軸加速度センサが反映しないことが考えられた. ・成果2:ジャイロセンサ搭載式1軸加速度センサは歩行,走行,立位作業時の身体活動量を比較的高精度(89%)に測定する. ・成果3:FSC法は,従来の線形予測法(回帰法)より身体活動量測定の妥当性を飛躍的に向上させる.
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