研究概要 |
平成18年度は,ロジスティック回帰分析による慢性疲労に関与する要因のリスク推定,ストレッサーとしての試験前後の自覚症状の変化を評価し,これらの知見を論文として公表した.平成19年度は,慢性疲労と抑うつに関与する神経系パラメータを明らかにする目的から,個人差を考慮するための生活習慣のモデル評価を行うとともに,神経系パラメータの評価方法の検討を行った.生活習慣と体調との関連を検討するために,生活習慣の内部構造について構造方程式モデルを適用し,その因果構造を検討した.群馬県の児童を対象とした調査結果,望ましい生活習慣は体調に好影響を及ぼすことが確認された.また,望ましくない生活習慣は望ましい生活習慣と関連し,それが改善されることによって間接的に生活基盤の形成に貢献すると推測された.神経系の評価方法については,自律神経系と平衡機能の観点から検討を試みた.加速度脈波による自律神経の評価では大きな個人間変動が確認され,信頼性の観点から慢性疲労との関係は充分確認できなかった.一方,平衡機能の評価方法を検討した結果,従来の平衡機能の評価に多く利用されている閉眼片足立ちは,近年活用されているトレーニングボードによる動的体平衡機能とほとんど関連が認められず,両者は異なる機能を測定している可能性が確認された.動的体平衡機能の評価変量の信頼性は概ね高いが,姿勢の規定が必要と考えられる.以上の知見は2編の論文及び3編の口頭発表で公表した.また,抑うつ及び自律神経を評価する質問紙票について,Mayo Foundationの質問項目の邦訳を検討した.
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