研究概要 |
神経毒性物質MPTP(1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridine)を用いて、症状の重度が異なるパーキンソン病モデルマウスを作製し、脳内の病態変化に対して、各種栄養成分(α-tocophero1,ascorbicacid, carnosine, lycopine astaxanthin)のをHPLCによる線条体dopamineおよびの代謝物の濃度測定や行動薬理学的試験を行い検討した。各物質の投与は経口投与とし、投与量や投与期間の検討及び有効性のみられた物質については、再現性の確認を行った。上記の各栄養成分の本疾患に対する影響は、有効なものとそうでないものがあり、本疾患の発症に関与する因子である老化に伴う神経細胞の減弱に対する効果がみられた物質もあった。有効性のみられた栄養成分については、脳内各部位(線条体、黒質、大脳皮質、海馬)における機能性タンパク(Tyrosine-hydroxylase,GFAP,Isolectin,S100β,NGF,nNOS,eNOS,iNOS,Cu/Zn-SQD,Mn-SOD等)発現を免疫組織化学的に検討し、定量化した。また、ESRを用いた脳内酸化ストレスの測定では、その測定方法を確立し、再現性を確認することができた.ESR法を用いた測定により、本疾患の重症度とパラレルに酸化ストレスの度合が増加することを確認し、症状の著しい重度の疾患モデルマウスでは、その脳内酸化ストレスを軽減あるいは抑制できる栄養成分の探索が難しいことが示唆された。各種栄養成分の効果は、症状の進行段階や急性期のモデルに対して有効である可能性が考えられた。
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