研究概要 |
本研究は,中学校での情報教育を履修した学習者の意識に基づいて,実施初期段階における学習指導・学習内容を総合的に検討することを目的としたものである。 「情報とコンピュータ」の学習内容に対する「興味・関心」,「自己評価(理解・自信度)」及び今「重要度」の3側面を,広島県内の高等学校1年生を対象に調査した。その結果,次の3つの示唆が得られた。 1.学習者は「情報とコンピュータ」の「重要度」を認識しているが,「自己評価」は概ね低く把握していることが示された。「情報手段の役割」「コンピュータの利用」及び「プログラムと計測・制御」への「興味・関心」は低く,実践的な学習活動を取り入れるなどの方策が求められた。また,「基本的な構成・操作」「情報通信ネットワーク」及び「マルチメディアの活用」に対する「興味・関心」は肯定的であり,知識や技術の定着を促進する学習指導の必要性が示された。 2.各側面の構造を把握するため因子分析を行った。その結果,学習者の「興味・関心」は,「コンピュータ利用」「ネットワーク活用」及び「計測・制御とプログラム」,「理解・自信度」は「ソフトウェア活用」「情報と生活の関係」及び「ネットワーク活用」,「重要度」は「情報処理の基礎能力」「情報の創造的加工」及び「情報の相互表現」から成る構造が認められた。これらの相互関連性から,学習内容は8つに類型化することができた。 3.学習者の類型化を試みた結果,第I〜IV群に類別され,2つの指標が共に中位の第I群と,共に高位の第III群の「興味・関心」と「自己評価」の構造を相関係数から検討した。その結果から教科「情報」では,学習内容に対する興味・関心の相互関連を緊密・増大化させるとともに,多様な学習活動を通して情報化が社会・生活に与える影響などについての認識を探めさせる学習指導に留意する必要性が示唆された。
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