研究概要 |
子どもの生きる力や確かな学力を育成する上で,教育活動を直接担う教員の養成が重要な課題となっている。 このような課題に対し,教員養成と現職教育のそれぞれのカリキュラムを考察するとともに,その接点をいかに連続するかが重要といえる。このような状況に応えるべく,インターンシップ等のような取り組みが見られるが,これは単に実践経験の場を提供するのみで,文部科学省(2001)や日本教育大学協会(2004)が提案した実践経験と理論的考察の往還関係が十分に機能しているとは言えない。そのため,教員養成から現職教育へのスムーズな移行に向けた,接続時期の教員養成プログラム構築が求められている。本研究では,教員採用試験から教職に就くまでの期間を利用し,理論と実践の往還運動を取り入れた,教員養成と現職教育を接続する教員養成プログラムを開発することを目的としている。 そこで17年度は,教職志望学生に対して採用直前期にアンケート調査を行い,同時期に学生が抱える課題や,そこで求める支援について探索した。平成18年度は,このアンケ-ト調査をもとに採用前研修プログラムを開発し,平成18年2月〜3月に試行した。同プログラムを受講した学生を対象として,事前と事後にアンケート調査を行い,プログラムを再構築した。このような実績を踏まえて本年度は,1年間にわたるプログラムを開発・施行した。その結果,昨年度の短期集中型と比較して,プログラム間に時間的余裕があるため課題を遂行しやすいという利点がある-方で,プログラムの間に教員採用試験や副免教育実習が入るため,間延びしてしまうといった課題が生じた。また,採用が決定した後(2月〜3月)に行う方が,受講者の意欲が高いこともあり,学生同士の一体感が生まれることがわかった。平成21年度から,大学4年次を対象とした必修科目「教職実践演習(仮)」を設けることが検討されている。教員養成大学では,その具体的なカリキュラム開発に取り組み始めているが,本研究で得られた知見は,こういった教職実践演習にも適応可能であり, さらなるプログラムの充実と課題への対応に取り組みたい。
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