研究概要 |
本研究の目的は,情報教育における効果的な学習環境の構築を目指し,(1)情報教育における「操作手続き」と「その背後にある理論・概念的知識」との乖離を解消するため学習環境の構築と,(2)「考える力」の育成を目的とした,インターネットを用いた情報の収集・分析・調査に関する統合的な学習環境の構築・実践である。平成19年度は,目的(1)について前年度で得られた知見に基づいて授業デザインを提案し,その学習効果について実践をとおして検討した。目的(2)は情報収集と情報統合のプロセスを理解するためにさらに実験的な検討を進めた。以下に成果を報告する。 (1)理論と操作の融合を支援する授業デザインの提案と実践 理論と操作の融合を支援する授業デザインとして,自己説明活動を取り入れた授業を提案し,大学1年生を対象とした情報教育の2つのクラスで授業実践を行った。授業では,ネットワークの仕組みについて講義を行い,学生にワークシートにまとめるように指示した。一方のクラスでは,図でまとめるよう指示し,もう一方のクラスでは特に指示を与えず自由にまとめさせた。また電子メールの仕組みについても指示内容を交代して同様におこなった。 (2)調べ学習時における情報探索プロセスの検討 調べ学習時における情報探索プロセスを理解するために,眼球運動データを利用した実験を行った。実験では,レポート課題のための下調べや,旅行を計画するための下調べとしてインターネットを使って情報収集する課題を設定した。実験では,実験参加者により現実に近い探索をしてもらうため,レポートの内容や旅行先などは参加者と相談しながら決めた。参加者の課題遂行中の発話やログ,眼球運動と,事後インタビューの発話や様子を記録した。実験の結果,課題の種類によって探索行動に違いがあることが明らかになった。
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