研究概要 |
本年度は板書・スライド画像,講義音声,講義ビデオの自動蓄積・配信を実現するため,講義ビデオ動画からの板書・スライド画像の自動抽出,音声区切りの自動抽出処理の手順を確立した.この結果,撮影後の講義ビデオからビデオ・画像・音声素材が全自動で蓄積・配信可能となかった. 更に、蓄積された素材のオンライン編集・同期配信ツールの実装も行い,これまでに開発したツール類を教育コンテンツ素材の蓄積・加工・配信システムとして統合した,以下に詳細を述べる。 4月から8月の期間において,講義ビデオ画像から板書・スライド画像を自動的に抽出するツールの開発を行った.我々の収録した講義ビデオではカメラをあまり頻繁に動かさないように人手で撮影しているため,講師が撮影対象領域の外に出た際に「板書のみ」あるいは「スライドのみ」が鮮明に写っている瞬間がある.そこで,撮影領域内に講師が映っていない瞬間,つまり,移動物のない安定したフレームを抜き出すことで板書・スライドに対応するフレームを抽出する。 9月から3月の期間において,音声振幅にもとづいた講義ビデオからの音声抽出・切り出し手順を確立し,開発したツール類を教育コンテンツ素材の蓄積・加工・配信システムとして統合した。 2007年度後期を通して開発したシステムを運用し,15週間に321講義の収録・蓄積・加工・配信を日常的に安定して行えることを確認している.撮影対象・講義スライドにQRコードを貼付するという安価な手法で素材管理の自動化を実現した結果,1講義の収録・蓄積に要する費用は撮影の人件費も含めて2000円未満となった.収録・加工システム全体も市販ビデオカメラと数十万程度のPCを用いて安価に構成されている.本システムは実環境において1学科の講義全てを少人数・低コストで収録・配信・二次利用することを可能とし,教育コンテンツ作成の促進に大きく寄与するものである。
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