研究概要 |
昨年度に引き続き,大学入試センターにおいて行われているプロジェクト研究「新しい枠組みとしての総合試験の実証的研究」と連携して研究を進めた。 まず,国内外の総合試験に関連する先行研究や総合試験問題のサンプルを調査し,総合試験の概念,経緯,種類,特徴,導入状況,測定対象能力,試験開発の概要,技術的な現状と課題等について総括した。その内容を教育関連図書において解説した。 次に,大学1年生を被験者として,試作版の総合試験を用いたモニター調査を行い,試験の経年的安定性,教科科目学力との関連,文系-理系学生間の成績の差異などについて分析を行った。特に,昨年度までのモニター調査では総合試験と教科科目の学科試験を実施するのみであったが,今年度は様々な課題を遂行するために必要な能力・資質の習得度および主要科目の得意度に関するアンケートを実施し,試験成績との関連について分析を行った。現時点での分析結果の概要については,大学入試センター発行の研究報告書において報告を行った。 さらに,読解リテラシー等の言語使用熟達度を評価する教科科目フリー型の総合試験が作成可能かどうかを検討するために,典型的な言語テストである大学入試センター試験の英語試験と同時に,リーディングとリスニングの能力の習得度についてのアンケートを行い,主観評価に基づく言語熟達度と試験成績との関連を分析し,試験得点に対して具体的な言語能力内容を対応づけることを試みた。今後,さらに分析を進め,結果を公表していく予定である。
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