研究課題
若手研究(B)
本年度は、昨年度の研究の方向性を継承発展させつつ、本研究の希求する都市形状分析手法の実行可能性を一層高めるべく試行を行った。本研究の代表研究者による先行研究では、東京都内CBDである渋谷を対象としていた。地域の空間関連データの豊富さ・入手可能性/縮尺と経済活動の活発さとは比例関係にあると言われる。例えば、人口密度も低く使用可能な資源も少ない、経済活動も不活発な地域の空間関連データは、他の地域と比較して、入手困難であったり、小縮尺(低解像度)のものにとどまることが多い。これに対して、東京都内、例えば上記先行研究で対象とした渋谷駅周辺エリアは、特筆すべき経済活動の活発さを持ち、大縮尺(高解像度)の豊富な空間関連データの入手が容易もしくは可能である。本研究では、上記先行研究によって開発した、航空機搭載LIDARデータを基盤とする都市形状分析の他地域への適用、一層のリファインを目指しているが、東京都内CBDよりも空間関連データの入手が困難であったり小縮尺であったりするエリアについても何らかの対応を案出する必要があるとの認識に至った。対応法案出の試行として、本年度、大阪市北区を対象にGPSユニットを登載した自転車による地形スキャニングを行った。データのDIY的獲得を目的としたこの試行では、CBD、古くから残る住宅地域、河川沿いの公園として整備された地域などの地形情報収集を行った。この試行により、プリプロセッシングが十全ではないLIDARデータの補正作業に使用可能なデータを獲得可能であることが明らかとなった。このデータは、GCPとして、また、航空機搭載LIDARが拾ってしまいやすい路上の自動車などをデータ整備時にエラーとして除去するために有用であることが期待できる。他の地域で同様の試行を行い、この方法から得られるデータが、都市形状分析手法の強化にいかにつながり得るかを現在考察している。
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African Study Monograph. Supplementary Issue, No.30.
ページ: 153-163