研究概要 |
今年度は、まず"NEMURO"(PICES[The North Pacific Marine Science Organization]の標準生態系モデル)を拡張し、気候帯毎に異なる複雑な生態系を再現可能な比較的複雑な海洋生態系モデル"eNEMURO"を開発した。海洋生物学的には、亜熱帯海域で優占する小型の植物プランクトン群、それらの捕食者である小型の動物プランクトン群をモデルに追加した。海洋化学的には、微量栄養元素である鉄の循環も表現できるようにするために、北太平洋亜寒帯域における鉄濃度調整実験"SEEDS-I(Subarctic Pacific Iron Experiment for Ecosystem Dynamics Study)"と"SERIES(Subarctic Ecosystem Response to Iron Enrichment Study)"のシミュレーションを行った。 次に、"eNEMURO"を水産総合研究センターの観測定点StationA7(亜寒帯海域)、StationB1(亜熱帯海域)の気候帯の異なる二つの海域に適応させるために、既存の観測データセットを元にモデル中の生理パラメータチューニングを行った。 本研究で得られた成果は、EGU(European Geophysical Union), SOLAS(Surface Ocean-Lower Atmosphere Study), ASLO(American Society of Limnology and Oceanography), AMEMR(Advances in Marine Ecosystem Modelling Research), PICESなどの国際学会において積極的に発表し、世界の最先端を進む研究者らと活発な意見交換を行った。
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