研究概要 |
これまでの研究で,南極ドームふじ雪氷コアには,光の散乱強度の変動が存在し,その変動がグリーンランドで採取された雪氷コアと同様に年変動に対応している可能性から,氷床コア解析で重要な氷の年代の決定に要素に貢献できる可能性を示唆した.しかし,南極ドームふじの涵養量が小さいため,従来の解析手法では,散乱光強度の変動要因について調べることが難しかった.そこで,氷中で光の散乱を引き起こす内部物質の形状・サイズおよび位置情報を明らかにし,年層との関係を明らかにするとが,本申請の目的である. 昨年度は内部物質を検出するために,反射光による照明を用いていたため,得られる画像が暗く,氷中のものは検出することが出来なかった.そこで,高出力の透過光を用い照明方法に装置を改良し,粒径0.2μmの微量のシリカ粒子を人工的に含ませた氷試料中のシリカ粒子と思われるものを検出することに成功した.そこで,南極ドームふじコアの温暖で微粒子の少ない試料および寒冷で微粒子の多い試料の測定を行なった.前者では,ほとんど内部物質が存在せず,後者では,多量に含まれていることが分かった.しかし,この内部物質が微粒子であるのか,またサイズについては明らかにできていない. また,散乱物体の分布測定には,数万枚の画像を得る.そこで,画像処理によるこの粒子検出の自動化を試みた.メディアンフィルタ,平坦化処理を行なうことにより,70%の確率で散乱帯の検出に成功した
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