研究課題/領域番号 |
17710015
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
環境動態解析
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
大林 由美子 愛媛大学, 沿岸環境科学研究センター, COE研究員 (60380284)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2006
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研究課題ステータス |
完了 (2006年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2006年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2005年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 海洋 / 有機物 / 物質循環 / マイクロビアルループ / 細胞外酵素 / 海洋微生物 |
研究概要 |
H17年度には主に沿岸域表層海水中の各種プロテアーゼのポテンシャル活性を測定したが、H18年度はさらに、沿岸域・外洋域を含む様々な場所・深度で同活性を測定した。その結果、沿岸・外洋を問わず、海水中に複数のアミノペプチダーゼ、トリプシン型酵素、キモトリプシン型酵素の活性があることが明らかになった。沿岸域では特にトリプシン型酵素の活性が高かった。外洋域での活性は、全体に沿岸域ほど高くはないが、表層で最も高く深度とともに低下した。外洋においても表層では沿岸域と同様にトリプシン型酵素の活性が高く、深層へいくに従い、アミノペプチダーゼとトリプシン型酵素の活性は同程度になった。以上の結果から、比較的生物活動が活発で水中の有機物濃度の高い状況で、トリプシンのようなエンド型酵素の作用がより重要になっていることが示唆された。 天然海水に代謝活性を落とした緑膿菌細胞を分解基質として添加したマイクロコズムを作成し、緑膿菌細胞由来タンパク質の分解の様子およびマイクロコズム内のタンパク質分解酵素活性の変化を追跡した。海水中の天然微生物群集に由来するタンパク質分解酵素活性は、実験開始後に系内で非常に高くなり、少なくとも10日後になっても非常に高い活性が維持されていた。このとき顕微鏡観察では天然微生物群集が活発に増殖している様子が確認された。マイクロコズム内のタンパク質プロフィールは時間を経るごとに単純になり、緑膿菌細胞由来タンパク質のうちごく限られたものだけが残存していった。残存したタンパク質の一つは、海洋で溶存態タンパク質分子としての存在が報告されているOprP同族体であった。これらの結果から、海洋微生物群集は細胞外酵素を用いて生物遺骸を分解・利用し活性化していること、また、海洋で検出されている緑膿菌OprPは海洋微生物による非常に高い分解活性の中でも残存するタンパク質分子であることが示された。
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