研究概要 |
平成17年度に実施した水分移動実験に供した室内実験装置を用いて,反応性の溶質移動実験を実施した.実験に先立ち,実験装置に充填する5種類の試料の陽イオン交換容量を試料ごとに測定した.それらの陽イオン交換容量と飽和透水係数の線形関係を明らかにした.本件に関しては既に土木学会西部支部研究発表会で報告した(平成19年3月).また平成17年度に土壌水分の測定に用いたプリント基板製の小型TDRプローブを用いて電気伝導度の測定のための校正曲線をプローブごとに求め,校正曲線のパラメータを同定した.実験は平成17年度と同様の不均一場となるように,所定の乾燥密度と含水比で充填した.上部より降雨発生装置を用いて反応性の溶質を注入して,所定の時間毎に実験装置を撮影,TDRにより電気伝導度の時間変化を測定し,下流端より流出する溶液をフラクションコレクタにより分画採取した.流出溶液は,イオンクロマトグラフィにより陽イオンおよび陰イオンを測定した.実験は投入する溶液の量を変え2パターン実施した.実験結果の破過曲線は,場の不均一性と 固相へのイオン交換・吸着を反映しており,地下水・土壌汚染の詳細なモデル化においては,場の化学的・物理的不均一性を十分考慮すべきであることが示唆された.現在実験結果を解析・整理中である.また数値計算モデルによるモデル化も行っており,平成19年度中には学会などで報告する予定である.なお平成17年度の研究成果は学会や論文などで発表した.
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