研究課題/領域番号 |
17710043
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
放射線・化学物質影響科学
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
天知 誠吾 千葉大学, 大学院・園芸学研究科, 助教 (80323393)
|
研究期間 (年度) |
2005 – 2007
|
研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
|
配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2007年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2006年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2005年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
|
キーワード | ヨウ素 / 土壌 / 放射性ヨウ素 / 吸着 / 微生物 / 酵素 / モニタリング / ラッカーゼ / 蓄積 |
研究概要 |
前年度までの結果より、ヨウ素(I^-)の土壌吸着はオートクレーブ滅菌、嫌気処理、還元剤、KCNやNaN_3など酸化還元酵素の一般的な阻害剤により強く阻害されることがわかった。一方、カタラーゼや抗生物質によってはあまり影響を受けなかった。従って、ヨウ素の土壌吸着には微生物由来の酵素、特に酸素を電子受容体とするオキシダーゼが関与すると考えた。ヨウ素の酸化能を有するオキシダーゼについてはこれまでほとんど報告例がないが、前年度までの研究により、海洋細菌Q1株の生産するヨウ素オキシダーゼにラッカーゼ活性(ABTS酸化活性)が存在することを明らかにした。そこで次に、土壌のヨウ素吸着速度と土壌中ラッカーゼ活性との間に相関性があるかを検討した。2種類の土壌中のラッカーゼ活性は、ヨウ素吸着と同様、滅菌や嫌気処理、還元剤、阻害剤により強く阻害された。また、このときのヨウ素吸着速度と土壌中ラッカーゼ活性の間には高い相関性が確認された(R^2=0.82)。さらに、黒ボク土、褐色森林土、暗赤色土、砂丘未熟土、砂など種々の土壌においても、ラッカーゼ活性が強いほど吸着速度が速い傾向が認められた。 以上の結果より、ヨウ素の土壌吸着は、微生物によるヨウ素の吸着・蓄積ではなく、土壌微生物が生産するラッカーゼによりヨウ素が酸化され、酸化されたヨウ素(I_2またはHIO)が土壌中の有機物(例えばフミン質中の炭素-炭素二重結合)と反応し有機ヨウ素化合物となって固定化に至るものと考えられた。ヨウ素酸(IO_3^-)の場合は、異化的ヨウ素酸還元細菌のような微生物によりI^-に還元された後、同様の作用で固定化されるのかもしれない。土壌中ラッカーゼ活性は比色法により容易に測定可能なため、本研究結果を基に土壌のヨウ素吸着能を評価する簡便・迅速なシステムの構築が十分可能と考えられる。
|