研究課題
若手研究(B)
大気浮遊粒子状物質由来のDNA付加体を部位特異的に1箇所もつプラスミドを作製し、ヒト培養細胞内で複製させ、TLSの頻度と突然変異パターンを明らかにすることを目的に実験を実施した。最終的には付加体ごとに付加体1分子あたりのTLS頻度や突然変異誘発率を比較する。今回解析を終えDNA付加体は、化石燃料燃焼で生成しタバコ煙にも含まれ膀胱癌を起こす4-アミノビフェニルの付加体(dG-ABP)である。がん抑制遺伝子p53のコドン248は、膀胱癌で見つかるp53変異のホットスポットであり、またABP付加のホットスポットでもある。コドン248の周辺配列を複した塩基配列上のdG1箇所のみdG-ABPにかえた部位特異的修飾プラスミドをヒト細胞に導入し、生じたTLSの頻度を変異パターンを調べた。その結果、このdG-ABP修飾プラスミドのTLS率は36%であることがわかった。以前の大腸菌を用いた実験結果から大腸菌でのTLS率は80%であったので、dG-ABPはヒト細胞において強く複製阻害をすることがわかった。またTLSしたプラスミドの塩基配列を調べたところ約5%の娘プラスミドに突然変異が生じていた。変異の内訳は修飾部でのGからTへのトランスパージョンが4、GからCへのトランスパージョンが2、GGからTAへのタンデム置換が1、修飾部の1塩基下流でのGからAへのトランジションが1、修飾部の2塩基下流でのAからCへのトランスパージョンが1個であった。
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Chemical Research in Toxicology (未定)
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110005717027
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