研究課題
若手研究(B)
本研究の目的は、生体が放射線等の有害な因子に暴露されたときにGFPレポーター遺伝子を発現し、リアルタイムに生きたままその影響をおっていけるメダカ系統を開発することである。まず、候補遺伝子としてGADD45αに焦点をさだめ実験をおこなった。その理由は、1)GADD45α遺伝子は、ヒト培養細胞の系で低線量の放射線で照射後数時間後には発現が増大することが確認されていること、2)通常時ではほとんど発現が見られないこと、3)ヒトなどの哺乳類で発現転写調節領域が詳細に解析されていること、などが挙げられる。GADD45α遺伝子は未だメダカではクローニングされていない遺伝子なので、そのクローニングをおこなった。哺乳類などで取られているGADD45の配列を元に、メダカのゲノムデーターベースを検索、メダカGADD45αのゲノム構造を予想し、メダカゲノムDNAからPCR法でGADD45α全長をクローニングした。メダカGADD45αはヒト同様4つのエキソンから成り、ヒトとのホモロジーは約80%であった。次に、このGADD45αがメダカで実際に放射線照射後に発現が増大するかどうかを調べた。その結果、ヒト同様照射後数時間で発現が増大すること、また線量依存的に発現が増大することが観察された。これまでのヒトなどの知見で知られている発現に必要不可欠と言われている領域をメダカで予想し、GFPベクターに挿入したいくつかのコンストラクトを作製した。それらコンストラクトをメダカ受精卵にマイクロインジェクションし、5GyのX線を照射し、GFPレポーター遺伝子の発現を観察しているが、これまでのところ顕著にGFPの発現する系統はとられていない。現在新しい別のコンストラクトを作成中である。これらの知見は2005年度の日本動物学会、小型魚類研究会で発表をおこなっている。
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Brain, Behavior and Evolution (in press)
Sophia Life Science Bulletin 23
ページ: 49-57
ページ: 59-80