研究概要 |
本研究は,希少資源を消費することなく高性能で環境安全性の高い吸着材(複合含水酸化物)を開発することを目的に,クラーク数で上位に位置する3種類の金属元素を組み合わせた三元素系複合含水酸化物を合成し,水質浄化材料としての適用を目指した。平成19年度は,ケイ素(Si),アルミニウム(Al),マグネシウム(Mg)の三元素からなる複合含水酸化物を,各金属元素比を変えて合成し,構造解析,基礎的な吸着特性を評価した。詳細は以下の通りである。 1.【Si-Al-Mg系試料の構造特性】 粉末X線回折(XRD)の波形より,Si含有比が高いと非晶質シリカ,アルミニウム含有比が高いとアルミニウム含水酸化物,Mg含有比が高いと低結晶性の層状覆水酸化物を主要組成とした試料(吸着材)得られた。また,SiまたはAl含有比が高い試料はメソ孔を有する構造体であることがわかった。 2.【Si-AI-Mg系試料の吸着特性】 有害イオン(フッ化物,ホウ酸,ヒ酸,亜ヒ酸,セレン酸,亜セレン酸,リン酸,アンモニウム)を対象に,Si-Al-Mg系試料の基礎的な吸着能力をバッチ法により評価した。その結果,各種イオンに対する吸着速度は速く,概ね24時間で吸着平衡に達した。Mg比の高い試料ほど陰イオン吸着性に優れ,Si比が高い試料ほど陽イオン吸着性に優れた。特にMg比が高いとヒ酸,亜ヒ酸イオンに対する選択性が増した。
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