研究概要 |
VOC系の土壌汚染処理技術としてオゾン微細気泡を用いた処理技術を用いることで,トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,1,1-ジクロロエチレン,1,1,1-トリクロロエタンとジクロロメタンに対するオゾン処理実験を行い,処理水温度に対する初期反応速度を算出した.その結果,処理水温度13℃におけるそれらの見かけの反応速度は,各々0.014,0.018,0.035,0.018と0.0081[1/s]と算出され,1,1-ジクロロエチレン,テトラクロロエチレン,トリクロロ系,ジクロロメタンの順に遅くなることが分かった.また,バブリングによる大気への逃げ量を除いたアレニウスプロットから,これらの反応速度定数の差は-11〜16%であった.これらの結果から,VOCの大気中への逃げ量が反応速度定数に与える影響は1割程度であると推定された.これらVOC(トリクロロエチレン,テトラクロロエチレン,1,1-ジクロロエチレン,1,1,1-トリクロロエタンとジクロロメタン)の活性化エネルギーは4.51,5.15,3.04,3.99,3.86kcal/molと算出された.更に,男成らのテトラクロロエチレンの活性化エネルギー値と本実験結果を比較すると,本実験の方が5割ほど低い値であった.この理由は,男成らの実験がオゾンを溶解した水溶液に溶剤の飽和水溶液を添加する方法を取っており,本実験のような気泡の気液界面上での反応と異なりオゾン飽和水を用いていることと,密閉容器内の実験であるために気相へのVOCの逃げ量が少ないことが主な原因として考えられる.
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