研究概要 |
平成18年度は以下の研究を進めた。 (1)モバイルGISを利用した緊急被害調査支援システム(POS)の開発とフィージビリティースタディー 平成17年度は、新潟中越地震発生後、被災地の小千谷市で被災地支援活動を行った経験、教訓に基づき緊急被害調査業務支援システム(POS)のプロトタイプを構築した。POS Systemは、緊急被害調査に着目し,被災現場での被害状況・情報の収集(PDA, GPSを利用した調査対象物の位置や入カデータ等調査データの収集とデジタルカメラを利用した調査写真の収集)を行い、現場調査後,調査データとデジタルカメラの写真をデータ登録支援ツールを利用し蓄積・管理し、さらに地図や帳票へ情報集約するといった被災地においてボトルネックとなっていた情報処理過程を効率化,一元化した情報システムである。本年度は、POS Systemを基盤とし、平常時の国道や国道に関連する構造物及び施設の調査に着目した情報システムを構築した。まず、平常時に毎日行われる国道の点検業務の業務フロー、情報処理過程を分析、整理し国道点検業務支援システムの構築また、その緊急時への応用事例を国道異常(地震)時巡回支援システムとして実践的に示すことによって、平常時と緊急時の継続性のある情報システムを提案した。平常時と緊急時が連携できる情報システムを構築することで、情報の収集業務,蓄積業務,集約業務といった情報の流れに着目した業務フローは同様の形態(パターン)であることが分かった.これらの業務フローのパターンを明示化し、整理することは、平常の業務と緊急時への応用の事例等複数の業務を包括的に効率化できる情報システム構築にとっては重要であることが明らかになった。 (2)緊急被害調査支援システムの標準化とCombat GISの開発 本研究で目指す、いかなる危機、ハザードに直面しても、効果的な危機対応を遂行することが可能な情報システムを構築するためには、危機的状況にのみ利用できる情報システムでは役に立たないケースが多い。つまり、平常時の段階から多くの自治体等の職員に利用されることが重要となる。危機対応を行う、地方自治体職員は、標準的な屋外調査支援システムを開発し、自治体職員とのケーススタディを通して、その有用性及び活用方法を検証した。ケーススタディでは、京都府宇治市職員の協力を得、河川占用施設調査業務におけるPOS Systemの利用及びフィードバックを行い、緊急被害調査支援システムの標準化を行った。あらゆる分野のフィールド調査において利用できる情報システムを構築することによって、あらゆる危機が発生しても、現場での情報収集からその整理(集約作業)が効果的に実施できる情報システムを構築したことにつながり、本研究の目指すCombat GISの開発を実現したことになる。
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