研究概要 |
『流体計算技術(CFD)と地理情報システム(GIS)を融合した新しい防災・緊急支援対策システムの開発』を実現するために,平成18年度は以下に示す個別研究開発を実施した. 静穏な夜間や対流混合が盛んな昼間などに出現する種々の大気安定度(すなわち,中立時,不安定成層時,安定成層時)へ適用可能な流体解析コードの改良(浮力効果の取り込み),汎用性とロバスト性に優れた最新のラージエディシミュレーション(LES)のサブグリッドモデルの導入,時間的および空間的に変動を伴う流入気流条件,計算領域の初期条件・境界条件,地面境界条件(地表面粗度モデル)などの精緻化を行った.日本国内の具体的な地域に関して,1/2500程度の縮尺模型を作成して風洞実験を実施した.風洞実験では,順流と逆流が検知可能なスプリットフィルムプローブを用いて平均風速や乱れ強さなどの気流性状の評価を行った.さらに,スモークワイヤー法を用いて,非定常な流れパターンについて可視化実験を行った.ここで得られた風洞実験の結果に基づき,流体解析コードの予測精度を多角的に検証し,精度向上へフィードバックを行なった.計算時間に関しては,従来の流体解析コードと比較して20%以上の短縮を達成した.また同時に,開発した流体解析コードをWindows搭載のデスクトップPC,モバイルPC,およびLinux搭載のPCクラスタに組み込んだ.それらの環境の中で国内の具体的な対象地域を選定し,提案するシステムに要する一連の解析作業の実証試験を行った.本研究で得られた一連の研究成果は国内外の学会で研究発表を行なった.
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