メソスケール気象モデルのRAMS(Regional Atmospheric Modeling System)に都市キャノピーモデルを実装した都市気候モデルを用いて、緑化によるヒートアイランドの緩和効果のシミュレーションを行った。 その結果、地表面を直接緑化することは、地表付近(地上高2m)の気温を低減させることに有効であることが明らかとなった。一方、建物屋上の緑化に関しては、建物屋上の表面温度の低減には有効であるが、地表付近の気温の低減効果は大きくないことが明らかとなった。 大都市の都心部では、地上の緑化を行えるスペースの確保が困難であり、屋上緑化がヒートアイランド対策施策の1つとして注目されているが、人間が屋外で主に活動している地表付近の気温低減には、必ずしも効果が大きくないことが明らかとなった。ただし、屋上緑化には、建物の冷房負荷の低減や景観や生態系の保全、みどりによる癒し効果などといった複合的な効果があるので、これらの効果も総合的に評価することが必要である。
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