研究概要 |
包絡分析法(Data Envelopment Analysis: DEA)は,経営効率の改善を目的として効率を定量的に評価する手法である.各事業体は,入力(資源の投入量)と出力(利益の産出量)の比率尺度を用いて相対的に評価するため,多入力多出力の事業体を総合的に評価できる点に特徴がある. 多層階職場レイアウト問題では,生産設備を稼動させるときの「物流コスト」と,多層階の建物を建築するときの「建築コスト」の複数の目的関数を持つ場合,複数のレイアウト案,すなわちパレート解集合が得られ,それらのパレート解集合の中からどの解(レイアウト案)を選ぶかは設計者の勘と経験で行われてきた. 本研究課題では,遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithms: GA)をベースにした多層階職場レイアウト技法で得られたパレート解集合に対して, DEAを用いて得られたパレート解集合を評価し,最良レイアウト案を1つ選択する技法を開発した.さらに数値実験により,開発技法の有効性を確認した. 本研究課題で開発した「DEAによるパレート解(レイアウ案)の評価方法を導入した多目的最適化による職場レイアウト設計技法」の研究成果を国際会議(International Conference on Artificial Intelligence and Pattern Recognition)で発表を行うとともに,現在,学術論文誌に対して投稿準備中である.この技法は,職場レイアウト設計問題だけでなく,いろいろな分野にも応用することも可能である.
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