研究概要 |
本研究の最終年度である本年度では,次の事柄を実施した.(1)地域社会を支える自治体情報化の成熟度モデルの構築,(2)持続的な地域からの情報提供を可能とする地域GIS(Geographic Information System)の検討,(3)地域における情報システムに関する成熟度モデルの検証,である. (1)の成熟度モデルの構築は,これまでのヒアリング調査やアンケート調査を総合的に分析して行った.庁内情報化,行政サービス,情報セキュリティの成熟度を5段階に分類し,インフラの整備から最終的には「価値の創造」となる指標を提案した. (2)のGISは具体的なアプリケーションとして地域内の,住民,自治体,企業などの主体を結びつけるものである.このGISの持続的な発展に着目して,自治体職員,企業,メディア関係のクリエーターなどの知見を集め,持続的な発展を行える地域の情報システムの在り方を示した. (3)では,継続的に実施している自治体のアンケート調査に基づき,(1)で提案した成熟度モデルの検証を行った.その結果,先進的な自治体が備える要素について具体的なロードマップを描くことができた. 以上の事柄は,これまでの経営情報システムがカバーしていなかった「地域」を踏まえ,かつ,複数の主体が連携して発展していく道筋を見いだしている.また,情報システム自体の客観的な発展や成熟の指標を作り出した点で,今後の経営学,経営工学,社会科学分野での分析に貢献できると思われる.
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