研究概要 |
昨年度より0.5秒間隔で計測中の風況を時間別,日別,月別データにまとめ,台風接近時を含めた年間風況を調べた.その結果,大学構内の年平均風速は4.5m/s(2006年)で,これは過去の同地域で観測された平均値5.3m/s(1985年)および那覇気象台のデータ5.2m/s(2006年)より小さい結果であった.大学周辺の宅地造成や建築物の影響によるものと考えられるが,今後の長期的な計測値を用いて那覇気象台との相関を調べることで,詳細な風況および風カエネルギー賦存量は明らかにできる. 3kW小形風力発電機の開発においては,昨年度風車運転シミュレーションを用いて開発した制御プログラムを用いて,実風況下実験を行った.制御プログラムでは,実用化を考慮して風速データは用いず,発電量と風車回転数から推定した風速を判断基準に用い,発電機出力制御およびブレードピッチ角制御を行っている.台風13号接近時や乱れの大きい強風時における風況下においても実験を行い,過回転を起こさずに安全に運転することを示した.但し,実験結果の一例として平均風速10.1m/s,最大風速18.8m/sの風況下にて,平均回転数115rpm(設計値160rpm)平均発電出力1.lkW(同2.5kW,11m/s)出力係数(風車効率)0.14(同0.25)であり,設計値と比べ十分な性能と言えず,より高効率とするために制御方法の改善が必要である. 海水蒸留式製水製塩装置では,速続運転を行うために加熱部への析出塩付着防止法について,研究を進めてきた.本提案システムでは,小規模離島や途上国での利用を念頭におき,装置が複雑にならず簡単に組立てや保守が可能なこと,自然塩の生産のために薬品類を用いないこと等を考え,塩付着防止方法として加熱方法や機械式のものを検討した.そこで,超音波装置を用いた対策を考案し,現在,実証試験中である.
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