研究概要 |
ネズミマラリア原虫P.berghei ANKA株の赤内型原虫を材料として、真核細胞用発現プラスミドベクターを用いて完全長cDNAライブラリを作成した。2000クローンをまとめてDNAワクチンとしてマウスに免疫し、その後チャレンジ感染を行ったところ延命効果が確認された(Vaccine.23(34):4359-66,2005)。これらのクローンの5'端をシークエンスし、特徴別にクラスタリングし、サブセット化した。具体的には、空ベクターやネズミ由来遺伝子を除いた1518クローン(DDBJ Accession No.BP113369-BP114819,BP539680-BP539746)を、ネズミマラリア原虫P.bergheiのドラフトゲノムと比較し、その結果を熱帯熱マラリア原虫P.falciparum(Pf)ゲノム配列上にマッピングした。Pfの相同遺伝子が蛋白質配列のN末端にシグナルペプチドを有するBPクローンを C群(525クローン242遺伝子)、それ以外(リボソーム蛋白質、酵素等)の遺伝子にマッピングされたBPクローンをnC群(382クローン143遺伝子)、Pfのゲノム上にマッピングされなかったBPクローンをuM群(611クローン)とした。 このサブセット3群に、前回ワクチン効果のみられたG2000群とコントロールのV群を加えた計5群つき、ワクチン効果を検討した。具体的には、ジーンガンを用いてマウスを1週間おきに3回免疫し、その1週間後に原虫を感染させ、原虫感染率と生存期間を観察した。その結果、サブセットでは、G2000に比べてワクチン効果の増強は見られなかった。同様に免疫後、脾臓細胞と原虫粗抗原を共培養し、免疫応答をサイトカインELISAでアッセイしたところ、IL-2,IFN-γがG2000よりも高値のサブセットは無かった(第35回日本免疫学会総会にて発表)。
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