研究概要 |
ビセライド類は,沖縄産ホヤより単離・構造決定されたマクロライドである.パネルスクリーニングの結果より,ビゼライドA,B,ハテルマライドNAメチルエステルは制がん剤のシスプラチン以上の腫瘍細胞増殖阻害活性を示す一方で,生物に対する毒性をほとんど示さないことから新しいタイプの制がん剤のり一ド化合物として期待されている.そこでビセライド類,ハテルマライド類および類縁体を柔軟に合成できる方法論を開発することにした. 19年度は前年度に確立した方法にてビセライド類・ハテルマライド類に共通する中間体の大量合成を行い,この中間体からビセライドB,EおよびハテルマライドNAの合成研究を行った. 本年度,ハテルマライドNAの全合成を達成した.本合成経路は他グループの経路よりも効率的なものである.また合成中間体の生物活性試験を行い,生物活性に関与する部位について有益な結果を得た.この化合物は活性が強力なので,得られた知見を基に誘導体の合成を行い,構造活性相関を検討していく.特に,今回確立した合成経路を基盤として,より活性が期待されるビセライドBの全合成を行っていく.
|