研究課題
若手研究(B)
今年度は当該グループのオリジナル技術である高等植物の安定同位体標識技術を高度化し、特にモデル樹木・ポプラにも適用化した。茎からの寒天培地へのルーティングで、1ヶ月程度で葉から光合成由来の13CO2、あるいは根圏からの13C6-glucoseの取り込みがプラトーに達する事が分かった。この安定同位体標識技術を活かし、木質系バイオマスに必要とされる、固体状態での物性、構造解析を固体多次元NMR法を用いて展開する事が可能となった。一方で木質系バイオマス分解系として、シロアリ・腸内微生物分解系についても順調に代謝データが得られ始めてきた。特に、このような非モデル生物系ではゲノム情報から要素還元的にアプローチする事が難しいので、着目酵素の発現を抑えるRNAi技術と安定同位体標識技術を組み合わせる事により、微生物から宿主への複合生物間相互作用の観測を可能とした。他方で消費者の系としてマウスについても、新規の代謝データが得られている。例えば、動脈硬化に感受性の高い系統とそれ以外の系統を比較すると、腸内細菌の発酵産物である酢酸、乳酸、プロピオンが顕著に異なる事がわかった。これは腸内細菌との生物間相互作用が、動脈硬化との何らかの因果性をもっている可能性を示唆している。一方で、別の実験として、植物繊維の割合が高いコムギフスマを飼料中に混ぜたものと、コントロールとして通常通りの餌を摂食させたマウスの尿、糞の代謝産物を計測すると、尿でも摂食効果が顕著に現れる事がわかった。上述のように、生態系における生産者(植物)、消費者(動物)、分解者(微生物)の三者の相互作用を多次元NMRメタボノミクス法により計測する事で、生物間における物質循環を解析する目処が立った。これらの成果については、既にJ.Biol.Chem.誌、Phytochem..誌への受理が決まりつつある他、5報の論文を執筆中である。
すべて 2007 2006 2005 その他
すべて 雑誌論文 (8件)
Method Mol. Biol. 358
ページ: 273-286
J. Spect. Soc. Jpn. 55
ページ: 320-330
10018105842
Biotech. Agri. Forest. 57
ページ: 93-101
Prot. Pept. Lett. 13
ページ: 295-300
J.Magn.Reson. 174
ページ: 33-41
Bull Chim. Soc. Jpn. (in press)
10019586827
Biotechn.Agri.Tech. (in press)
Prot.Pept.Lett. (in press)