研究概要 |
医療機関勤務看護師のDV被害者支援を阻む要因の明確化と看護者が求めるDV被害者支援教育プログラムを考察することを目的に自記式質問紙調査を実施した。2005年度に実施した基礎調査を基に新調査紙票を作成し,全国の大学病院及び100床以上の総合病院を無作為抽出にて選定した全100施設の看護管理者1000名に郵送した。その結果58施設266名から調査協力を得た(協力施設割合:58%,調査紙票回収率:26.6%,有効回答率:26.4%)。調査期間は2006年6月1日〜8月31日であった。設問項目は「回答者の基本的属性,DV問題・問題解決ネットワークについての知識,DV被害者遭遇経験研修会への参加経験及び研修会で希望する事等」を挙げ,統計解析には統計ソフトSPSS for 11.0Jを用いた。その他自由記述形式にて,DV対策がとられるための看護者の役割等や,事例問題を基にしたDV被害者に初めて遭遇した際の対応等についての回答を得,キーワード分類・カテゴリー抽出を行なった。平均勤務年数は27.4±6.2年であり,DV問題について94.7%の人が「知っている」と回答したが,法律の中身を知っている人は42.5%であった。対象者全体の51.5%が病院でのDV被害者への遭遇経験を持ち,全体の81.6%がその初遭遇時期を1年未満〜5,6年前とした。DV問題解決ネットワークについては,95%の人が「医療機関職員もDV支援機関についての具体的情報が必要」と考えていたが「DV研修会に参加した経験がある」人はわずか11.0%であった。自由記述‘医療機関でDV対策が実行されるための看護の役割'に関する自由記述回答からは,325の小カテゴリーが抽出された。その小カテゴリーを分類した結果,『ソーシャルサポートの充実を図る』『被害者支援の充実を図る』『ナース自身のスキルアップ』の3つの大カテゴリーが抽出された。
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