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ペレック『失踪』における「文字落とし」の制約と自伝的動機の関係に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 17720042
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 ヨーロッパ語系文学
研究機関早稲田大学

研究代表者

塩塚 秀一郎  早稲田大学, 理工学術院, 准教授 (70333581)

研究期間 (年度) 2005 – 2007
研究課題ステータス 完了 (2007年度)
配分額 *注記
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2007年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2006年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
2005年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードペレック / 失踪 / 自伝 / リポグラム / 文字落とし / 翻訳 / 文宇落とし
研究概要

1.自伝的要素と文学作品のパスティーシュ
『失踪』における自伝的要素は、『白鯨』、『盗まれた手紙』、『オイディプス王』、中世の『教皇聖グレゴリウス伝』と、それに基づくトーマス・マンの『選ばれし人』など、古今の文学作品のパスティーシュの形で忍ばされている。作者はユダヤ民族への迫害という自伝的契機を神話のかたちを借りつつ、『失踪』に反映させているのである。それぞれの文学作品が具体的にどのような自伝的参照として機能しているかについては、限られた紙幅において詳述することはできないが、いずれ論文のかたちで報告できるはずである。
2.日本語訳のとるべき戦略
本研究のもう一つの柱は、『失踪』の日本語訳がとるべきアウトラインを定めることであった。まず、日本語に課すべき制約をどう定めるかが問題となるわけだが、フランス語原典では、アルファベット26文字のうち、もっとも使用頻度の高いEの文字が排除されていた。日本語をすべてひらがなで書いたとき、もっとも高い頻度で現れる文字は「い」だという調査結果がある。そこでまず、日本語訳においては、「い」の文字を排除するのが妥当であると考えた。だが、ひらがなは48字もある音節文字であるから、日本語から「い」の文字だけを消すのでは、実際に引き起こされる「困難さ」という点で、フランス語のE抜きには遠く及ばない。そこで、文字「い」だけでなく、「い段」の文字をすべて抜くことを考えた。
さらに『失踪』の翻訳において重要なのは、「欠如の参照システム」とでも名付けうる巧妙な仕掛をも翻訳することである。これは、本文中に不在であるはずの文字を、さまざまな手段によって喚起する方法であり、テクスト生成原理を自らのうちに内包するという、「メタテクスト的機能」の一種と考え得る。「欠如の参照システム」の日本語への翻訳例については、2008年度中に刊行予定の論文において詳述されている。

報告書

(3件)
  • 2007 実績報告書
  • 2006 実績報告書
  • 2005 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2007 2006

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Le reel dans Un Cabinet d' amateur de Georges Perec2007

    • 著者名/発表者名
      Shuichiro Shiotsuka
    • 雑誌名

      L' Autre de I' oeuvre

      ページ: 113-122

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] ウリポとシュルレアリスム2007

    • 著者名/発表者名
      塩塚秀一郎
    • 雑誌名

      水声通信 20号

      ページ: 100-106

    • 関連する報告書
      2007 実績報告書
  • [雑誌論文] La peinture comme modele structural : dix tableaux generateurs de La Vie mode d'emploi2006

    • 著者名/発表者名
      Shuichiro SHIOTSUKA
    • 雑誌名

      Georges Perec : inventivite, posterite, Actes de colloque de Cluj-Napoca (Roumanie) Universite Babes-Bolyai

      ページ: 273-285

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 文字落とし小説『失腺』を翻訳するとはいかなる企てなのか?-英訳、スペイン語訳からかいま見える狂気-2006

    • 著者名/発表者名
      塩塚秀一郎
    • 雑誌名

      水声通信 4月号(未定)(3月末刊行予定)

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [図書] 美術愛好家の陳列室2006

    • 著者名/発表者名
      ジョルジュ・ペレック著, 塩塚秀一郎訳
    • 総ページ数
      154
    • 出版者
      水声社
    • 関連する報告書
      2006 実績報告書

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公開日: 2005-04-01   更新日: 2016-04-21  

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