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1780年代から1830年代の英国における感受性文化と女性と慈善の関係

研究課題

研究課題/領域番号 17720056
研究種目

若手研究(B)

配分区分補助金
研究分野 ヨーロッパ語系文学
研究機関放送大学

研究代表者

大石 和欣  放送大学, 教養学部, 助教授 (50348380)

研究期間 (年度) 2005 – 2006
研究課題ステータス 完了 (2006年度)
配分額 *注記
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2006年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
キーワード慈善 / 感受性 / 女性 / ジェンダー / 18世紀 / 理性的非国教徒 / 公共圏 / ロマン主義 / 18世紀イギリス / philanthropy / 慈善文学
研究概要

本年度は、まずMary Wollstonecraftの言説にみられる感受性文化の影響を洗い出した。いわゆる理性的非国教徒(Rational Dissent)の影響が濃厚であるというWollstonecraftであるが、実際のところ感受性文化の枠組みのなかで著作を書き、そして感受性の言説を取り込んでいったことは否定できない。矛盾する理性的非国教徒の言説と距離をとりながらも、その思想を咀嚼し、感受性の言説によって表現しようと試みた形跡が彼女の小説には明確に浮かびあがっている。特に初期の自伝的な小説Maryは、感受性の言説が慈善の思想と絡み合いながら、やがては理性的非国教徒の急進的な思想へと接点を結ぼうとする経緯が見られる。それはあまりに未分化なものであることも事実だが、しかしその未分化な言説こそ、感受性文化に育まれ、その言説と思想を原動力としながら慈善活動をし、公共圏へと参入しようとしていた同時代の女性たちの状況を象徴している。
その後、感受性の言語を女性詩人たちが全体的にどのように取り込みながら、ロマン派男性詩人たちの言説と距離を取ろうと試みたのかを、特に慈善にかかわる言説、1790年代の奴隷貿易廃止運動に関係する言説を中心に考察した。女性たちは自らの文学的伝統がない状況において、感受性の言説に依拠しながらも、慈善にかかわる言説を著すことで公共圏に参入しようとしたのである。しかし、その試みには常に「公共圏の不安」が付きまとっていたことも事実である。
最後は感受性の文化の枠組みのなかから慈善活動を歴史的な見地から俯瞰した。宗派や社会的に異なる階層に属する女性たちが慈善活動という特殊な領域において協働をなしとげた。しかし一方で、彼女たちの言説には互いの利益と信条の齟齬に対する不安と緊張が含まれている。その曖昧な関係が18世紀末の女性の感受性文化と慈善の関係を象徴している。

報告書

(2件)
  • 2006 実績報告書
  • 2005 実績報告書
  • 研究成果

    (8件)

すべて 2007 2006 2005

すべて 雑誌論文 (7件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] (書評)Andrew Stauffer, Anger, Revolution, and Romanticism (Cambridge : Cambridge UP, 2005)2007

    • 著者名/発表者名
      大石和欣
    • 雑誌名

      Studies in English Literature 48号

      ページ: 57-64

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] The Band of Sisters? : Philanthropy, Dissenting Women, and Interdenominational Alliances2007

    • 著者名/発表者名
      大石和欣
    • 雑誌名

      Migration and Identity in British History, Proceedings of the 5th Anglo-Japanese Historians' Conference

      ページ: 86-103

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] ゴシック経由ロマン主義への周遊旅行2007

    • 著者名/発表者名
      大石和欣
    • 雑誌名

      英語青年 152巻

      ページ: 44-44

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 優柔で、不安な女性の慈善~Mary WollstonecraftのMaryとその背景2006

    • 著者名/発表者名
      大石和欣
    • 雑誌名

      英文学研究 83号

      ページ: 1-14

    • NAID

      110008159084

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 『引喩』の政治性~ロマン主義時代の女性詩における感受性言語と『公共圏の不安』2006

    • 著者名/発表者名
      大石和欣
    • 雑誌名

      放送大学研究年報 24号

      ページ: 85-92

    • NAID

      110007093481

    • 関連する報告書
      2006 実績報告書
  • [雑誌論文] 廃墟のエコロジー2005

    • 著者名/発表者名
      大石 和欣
    • 雑誌名

      d/sign 11

      ページ: 88-93

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [雑誌論文] 女性の慈善とバーボールドの曖昧な公共心〜ユニタリアン文化のジェンダー問題2005

    • 著者名/発表者名
      大石 和欣
    • 雑誌名

      放送大学研究年報 23号

      ページ: 65-78

    • NAID

      110007094346

    • 関連する報告書
      2005 実績報告書
  • [図書] 世界の名作を読む('07)2007

    • 著者名/発表者名
      工藤庸子, 大石和欣
    • 総ページ数
      172
    • 出版者
      放送大学教育振興会
    • 関連する報告書
      2006 実績報告書

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公開日: 2005-04-01   更新日: 2016-04-21  

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