研究課題/領域番号 |
17720099
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研究種目 |
若手研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
日本語学
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
余 健 三重大学, 教育学部, 准教授 (90345968)
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研究期間 (年度) |
2005 – 2007
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研究課題ステータス |
完了 (2007年度)
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配分額 *注記 |
1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2007年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
2006年度: 300千円 (直接経費: 300千円)
2005年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 式音調 / FO / 低起式無核の上昇性 / 高起式無核の自然下降度 / 地域差 / 世代差 / 人の流動性 / 有標性 / F0高低差 / F0傾斜度 / 高起式無核語 / 拍内下降 / 古代期の特徴 / 社会言語学的要因 / 発話調査 / 知覚調査 / 高起(平進)式 / 低起(上昇)式 / アクセント発話調査 / アクセント知覚調査 / 自然下降度の大きさ / ピッチパターン幅 / 揺れ / 高起式と低起式の基準 |
研究概要 |
今年度の目的は、過去2年間に行ったアクセント調査のデータを整理し、考察を深めることにあった。分析基準を確定することに手間取り、更なる詳細な考察は今後の課題であるが、ひとまず全体的な特徴として以下の点が明らかになった。F0最大値とF0最小値の差の平均値やFO曲線図より、どのアクセント型も北摂と南河内における若年層より高年層の方が、高低の起伏の大きいことを認められた。特に低起式無核においては、若年層より高年層の方が約3倍、抑揚が大きく、生理的な自然下降に反して上昇しようとする京阪式アクセントの力強さを典型的に表現しているものといえるだろう。また、高起式無核における気づきにくい方言音声の特徴として、「右肩下がりの自然下降の度合いが大きいほど、伝統的な京阪式アクセントの高起式無核に聞こえる」という仮説を提示した。この点については、今後聴覚実験を行い検証したい。 一方で、1拍名詞の上昇調や下降調、そして2拍名詞の拍内下降調も含めた京阪式アクセントらしさの象徴である急激な上昇や下降は、南河内高年層>北摂高年層>南河内若年層>北摂若年層の順でなくなりつつあるというのが、実情のようである。この背景には、北摂地域の「人の流動性の強さ」という言語外的な要因と特に低起上昇音調の特徴が弱まりつつあるという点に関しては、生理的な自然下降に逆らう低起上昇式の有標性の言語内的な要因を想定し得る。
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