研究概要 |
従来,言語獲得を誘発する外的な要因及び機構の詳細は不明であり,環境・刺激と言語獲得機構との連関を視野に入れた総合的な解明が必須である.本研究では,言語の韻律的側面について,外的な環境刺激が獲得過程に与える作用について検討するため,特に語のアクセントに着目し,幼児および児童を対象に言語心理学的手法により知覚実験を行なって,幼児期における環境刺激への感受性を調べることを目的とする.これら韻律情報に対する知覚的側面と発話・生成との相互の連関を検討して言語獲得機構および言語の普遍的獲得過程,個別的過程についての議論を行なった.獲得の過程を詳細にするため,言語間で比較して研究した.本年度は,これまで集積した資料に基づき,総合的な考察を行なって,獲得の過程における言語音声の知覚と発話生成の連関について,モデルを提案した.知覚,すなわち環境刺激への感受性にはいくつかのサブレベルがあり,韻律的側面の獲得過程においては,これらのうち,あるサブレベルが発話生成に関与していると考えられることを議論した.これらの成果は,国際会議にて発表し,専門の研究者と活発な議論を行なった.今年度はとりまとめの年度であることから,実験参加者へのフィードバックとして,報告書をまとめ,送付した.
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